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ただ純粋に前を見ていて・・・

思いつくまま ただひたすら 虚構を綴っていきます・・・・・・・・・・・・
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「ずっと 黒に会いたかった」


自分もだと言いたいのに 声が出ない。

もどかしくも うんうんと頷いて答えた。




背後の登り始めた陽光が キミを儚くみせる。

不安で不安で 無意識にキミを抱く腕に力がこもる。

それでも キミはこの手をするりと抜けて また居なくなる気がしてならない・・・



「でもね・・・まだ 私は帰れない」



やっぱり・・・



答えは分かってたんだ。

でも 実際に耳にするには あまりにも痛かった・・・



「諦めるわけにはいかない。絶対に・・・」



キッパリと言葉にする キミが憎らしい。

だから意地悪くも意趣返しに聴いてやる。



「俺が力ずくで引き止めても?」



「それでも・・・。これだけは譲れない」


キミの進撃な瞳にぶつかって ショックを隠せなかった。



自分と同じ気持ちだと信じて疑わなかった。

だから その答えへの対応が見つからない・・・


ただ、

「また、置いていかれるんだ・・・」ということしか頭に浮かんでこなかった。



キミの想いは 遥か遠方に。
陽炎のようなキミを どうやったら捕まえられるのだろうか・・・
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「大きくなったね。黒ちゃん」


登り始めの太陽が目に痛い。

逆光で キミの大きな影が 足元まで伸びていた。




キミに触れたくて 抱きしめたくて

切願を果たすべく 我も忘れて駆け寄りたかった。

でも 足はピクリとも動かない。。。




自分の道を歩み始めたキミを

自分の道さえ分からぬ俺が遮ったことを

キミに呆れるかもしれない…

歩み寄れぬ弱き自分に そんな言い訳を連ねる。



キミからの拒絶が 怖かった。






「泣かないで」


耳元で声がして驚いた。

キミの方から歩み寄ってもらえると思っても居なかったら…



「黒の泣き虫」


そう言ってキミはからかった。

5年ぶりに見たキミは、近くで見てもちっとも変わっていなかった。

ただ…


「白が泣くから…」


キミの瞳から溢れる無数の涙が痛かった。

白銀の地までキミを追いかけてしまったからだろうか…

それがキミを追い詰めたのだろうか…

歓喜の涙が 悲観の涙に変わり

居た堪れなくて 唇をキツクかみ締めた。


「黒が泣くから、私も泣くの。 だから、黒が泣き止んだら、私も泣き止むの」


「ごめん…」


勝気なキミは健在で、いつもの俺は不在で…

こんな軟弱者で情けなくて…


「私は黒に会えて嬉しいよ」


そう言って キミに抱きしめられた時

もう号泣は止められなかった。。。



キミに会えた今、ただキミの拒絶を恐れ伏す。
情けなく泣きじゃくり キミを追いかけた俺を キミの懐かしい声音が歓喜をもって癒した。

明けの明星を右手に歩み続ける。

そこは夢にまで見た白銀の地・・・

吐く息は白く またキミを渇望する。



「白・・・」




食べることも 寝ることも忘れて 何十時間も歩いている。

あと少し あと少し

そう思うほど焦燥は加速し 留まることが出来なかった。

酸欠のように 息が切れた。

思考が固定する。

ただ、キミだけに。。。



ピンッ

手に握り締めていた赤い糸が 急に張り詰めた。


この先にキミが居る!!


歓喜と狂喜が入り乱れ

一瞬 時が止まった・・・


真っ赤に熟れた太陽の光の中に 

・・・キミは居た。





かつてとなんら変わらぬキミがそこに居た・・・



「大きくなったね。黒ちゃん」



キミの声を聴くだけで、なんでこんなにも涙があふれるのだろう・・・



キミを求めて最北の地まで来た。
寝食を忘れるほどの渇望がようやく実る時が来た・・・

今年も月に願ったよ。

「キミとずっと一緒にいられますように」

・・・って



沢山のススキを抱きしめて、

キミへのメッセージを延々と語ってた。

「キミは ただ純粋に前を見ていて・・・

 俺が キミにたどり着くから

 キミは 振り返らないで 後悔しないで

 俺が 振り向かせたいから キミの想いは俺の切望だから

 キミは ただ純粋に前を見ていて・・・



キミが願った月に 今年も祈る。
秋風に乗せたメッセージが キミのもとまで届きますように。

中秋の名月にあやかって

ススキヶ原でお月見を…




三尾神社の境内で 最後に餅つきをしたのはいつだっけ。

まだ、制服を着ていた頃だったよね。

ルーズソックスとかが流行ってて、

キミも真似して喜んでたな。



両手に溢れそうなほどのススキを持って

満面の笑顔で言うんだ。


「ずっと一緒にいられますようにって お月様にお願いするんだぁ」


・・・って



中秋の名月に、独りススキ溢れる丘で月見をする。
キミと祈ったお願い事は 月に届いただろうか?

虚構短文詩「キミの涙」

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